甘言に踊らされて、辛い決断をした友達は、こうだった、ああだったとわたしに思い出を語った。わたしの相槌以外の言葉は、どれも彼女の上を滑るだけで届いていない。だからただうんうんと頷いていた。それにずっと気付かない振りを続けるか、これもありだと踊るのを続けるか、他にもいくらかの選択はある。踊っているうちは楽しくて自分にもいくらか酔える魅力的な舞台でも、踊らされていると気付いた途端に全ての意味がなくなる。彼女は気付いて、そして踊るのをやめた。やめる選択をした彼女が好きだ。しばらくは辛いかも知れないけれど、これからいいことあるよ、とわたしが言うと、彼女はそうだねと笑った。