出勤前(朝8時ごろ)に鈴子(母)がなにやらたくさん持ってきてくれた。歯を磨きながら紙袋を開けると、敷き毛布とひざ掛け、リンゴに醤油、半生の讃岐うどんが入っていた。あんた冷え性だし寒がりだから、敷き毛布敷いて寝なさい。ひざ掛けはサラだからね。と言いながら犬に舐めまくられる鈴子。ちなみに、サラというのは新品という意味です。ひざ掛けは会社に持っていって膝にかけたらたいそう暖かくて助かった。親と言うのは、こうしていつまでも子供のことを気にかけて、わたしが30になっても40になっても鈴子は出勤前にひょっこりと顔を出して、こうしてひざ掛けを置いて行ってくれる気がするな、と思いながら仕事をしてた。仕事はわりとはかどりました。

昔とある仕事をしていた時の友人から、先ほど電話がかかってきた。友人はかなり酔っている様子で「夢を叶えてナンボだろう、なあ、人間はさあ」というようなことをグルグルと言い続け、そのあとふと思い出したように「そんで、お前は最近何をしてんだ?」とわたしに問いかけた。ああ、今は普通の会社員をしながらまあなんとか平凡にそこそこやっているよ、と答えると、ひよったな!人間はさ、夢を叶えて…とまたグルグルが始まった。ははは、まあねえと曖昧に会話を続けること 30分。友人は突然、そうか、そこそこか…とぽつりと呟いたあと、じゃあ元気でな、また酒でも飲もうぜ、と電話を切った。電話を切ったあと、わたしは梅酒を少しお湯で割って飲みながらこの文章を書いている。いろいろあって今は昔わたしがなりたかったわたしではないけれど、きっと後悔はしていないんだと思う。夢を追う友人は、今どこらへんにいるんだろうと考えていたら、少し胸の奥がつかえたような気分になった。おやすみなさい。

残業した帰りの電車の中、
 
だが実は/ わたしは君を友達だと思ってなんかいないのである。/一度だって思ったことは無い!/誰一人思っちゃいないよ!/
 
というような鬱極まりない歌詞を聴いていて特撮サイコーと感動にむせび泣いていたところ、ふと気付くとクリスマスイブでした。メリークリスマス、友よ!電車の中が異様にケンタッキーくさくてお腹が空いて困りました。
 

大事なものに出会うということは、失う怖さにもまた出会うと言うことで、だからわたしはなるべくそれらのものに出会わぬよう、執着せぬようにと生きてきた。今は、失ってもそれを見つめることのできる人間になりたいと思う。失うことは怖いけど、無意味なことではない。そういうことに、つい最近気がついた。バカです。

「しーわすしわすーだ、あったまがちがーち、そーれがどーした、ぼくかいしゃいんー」(多分ドラえもんの替え歌)という歌を口ずさむスーツ姿の人の隣に電車で座りました。サイコでした。年の瀬、こえー
 

久しぶりに会った友達から、はいこれあげると黒いマフラーを貰った。コートの上からマフラーをしたらえらく暖かかった。好きな人から何気なく貰うものは(それが金銭的に高かろうが安かろうが)、いつもわたしをささやかに満ち足りたほっこりとした気分にしてくれる。切りすぎた前髪を気にしていたけど、別に全然可愛いと思う。旅行気をつけて。土産話を楽しみに待つよ。